ジャコブ・ジラール 2014ヴィンテージについて
2014年の冬は湿気が多く、例外的に暖かく、畑仕事が容易ではありませんでした。しかし、春はこれまで長年ブドウ栽培をしてきた中でも、最も天候が良く、最も乾燥していました。ブドウ木はこの素晴らしい気候を存分に享受して成長していきました。葉は清潔で、ブドウ木の構成成分はバランスが取れた形で増加し、病害の発生は殆どありませんでした。
開花は例外的に早く、涼しい夜のおかげで一定の間隔で行われました。ヴィエイユ・ヴィーニュのブドウ木にはミルランダージュが発生しましたが、幸運なことに結実不良はわずかだけでした。それまで素晴らしい天候であった2014年ですが、6月28日、突如、コート・ド・ボーヌ全域で豪雨が起こりました。しかし、幸いにもサヴィニー・レ・ボーヌの村は被害を免れました。
この豪雨の後、猛暑が訪れ、一部のブドウは焼けて乾燥して実を落としてしまいました。しかし、結果的にはこのことによって自然な選果が行われ、ブドウの収穫は悪いものではありませんでした。
7月と8月は涼しく曇りがちでした。8月初めから色づきが始まり、色づきが完全に終わるのに8月の一ヶ月間が必要でしたが、春の間の生育の早さにおかげで、8月末にはブドウは一定の成熟のレベルに達しました。
9月初めになると、北風や乾燥した晴天、暑さなど、栽培家達が望んでいた天候条件が訪れました。ブドウ木は7月と8月に蓄積した水分を全て利用し、成熟は一気に進みました。特にシャルドネは成熟が早く進みました。これに対し、ピノ・ノワールはもう少し遅いペースで熟成していきました。このため、伝統的に言われている「開花から100日」という考えにとらわれことなく、上品で凝縮した香りと味わいを備えた成熟したブドウが得られるまで収穫を待つことにしました。
今も奇跡的で不思議に思うことは、ブドウの果皮が薄かったにも関わらず、ブドウが灰色カビ病に侵されることがなかったということです。自然の神秘ということができます。
収穫は9月12日から始まりました。昔からドメーヌで収穫をしている熟練の摘み取り人30人で行いました。アルコール度数はバランスが取れ、ワインの色合いは強烈で、ソフトなタンニンと酸のバランスは良好で、醸造はく問題なく行われました。
毎年ワインの造り手は醸造に際し、不安や心配を感じるものですが、2014ヴィンテージほど、そのことを痛感させられた年はありませんでした。しかし、その分、前途有望な素晴らしいワインが出来上がったことに、いつも以上の喜びを感じております。
2016年2月15日
ジャコブ・ジラール