Wine List 【 P-099 】 参考品

幻のポルトガルワイン

ポルトガル国旗

バルカ・ヴェーリャ

Barca-Velhe 1985


『バルカ・ヴェーリャはドウロ産の赤ワインである。このワインはドウロ河上流のドウロ・スペリオール地区にあるキンタ・ド・ヴァレ・ド・ミアオンの葡萄からフェルナンド・ニコラウ・アルメイダ氏が1953を初ヴィンテージに秀逸なヴィンテージのみ造り始めた。
ポートワインの歴史の中で伝説的に語り継がれるグラン・ダーム(偉大な貴婦人)として有名なドニャ・アントニア・フェッレイラは84歳で死ぬ間際まで葡萄園の開発、ポートワイン生産に情熱を注いでいたという。ミアオンの農園はその一つで、葡萄園はドウロ河が大きくカーブした河岸の平らな土地に切り開かれている。「彼女は急な斜面の葡萄畑での労働力不足の問題がやがては起きるだろうという先見の明をもっていた」のだという。ニコラウ・デ・アルメイダ氏はフェッレイラの醸造責任者を62年間務めた。
彼はなぜこのアミオンの葡萄から赤ワインを造ろうとしたのだろうか。1950年にボルドーに出かけたニコラウ・デ・アルメイダ氏はそこでゆっくりとワインを醸し、優しく成分を抽出する方法を学び、帰国後さっそくミアオンでそれを試すことにした。

フェッレイラは1987年にポルトガル最大手のワイン・メーカーであるソグラペ・グループの傘下となり、バルカ・ヴェーリャの造り手も変わった。昨年のリスボンの万博を機にニコラウ・デ・アルメイダ氏の後継者で、ソグラペ・グループの生産技術部長を努めるソアレス・フランコ氏の手になるバルカ・ヴェーリャの新ヴィンテージ1991ガ発売された。
まだ紫色の残る濃厚な色調。若い果実が前面に押し寄せる赤ワインである。過熟さや強烈な強さ、フルボディさをそれほど感じさせず、タンニンも現代的にしなやか。そこが過去のバルカ・ヴェーリャを知る人々を戸惑わせているようで、評価は「偉大さの復活」と「全くことなるスタイルの誕生」に二分されている。
現在、バルカ・ヴェーリャとなる葡萄の80パーセントはドウロ・スペリオール地区にあるキンタ・ダ・レダの葡萄畑のもので、残りがキンタ・ド・ヴァレ・ド・ミアオンのものだという。いづれも、フェッレイラ家の子孫であるオラサバル家が今も所有している。

ティンタ・ロリーズを主体にトウリーガ・ナシオナル、トウリーガ・フランセーザ、ティンタ・バローカ、そしてティンタ・アマレーラの各品種の最上の品質の葡萄が選別され、ステンレスタンクで発酵、メイアス・ピパス(通常ポートワインの熟成に用いられる550Lのパイプまたはピパスと呼ばれる樽の半分の大きさ)と呼ばれる270リットルの大きさのオークの新樽で1年半熟成。その後発売まで瓶熟成される。

バルカ・ヴェーリャは1991以前に生産された最後のヴィンテージは1985で、6年のブランクがあることになる。この間、バルカ・ヴェーリャとなるべき品質がワインに見いだされなかったというのが理由。』

 上記の文章は、「ヴィノテーク'99.9月号のポルトガルワイン紀行ー1」に掲載された、蛯沢登茂子さんのレポートの一部を抜粋して転記したものです。

ICEP主催のワインセミナー1999/02/15で1996ヴィンテージをテースティングしています。多分、この時が日本初上陸だったろうとおもわれます。その時の解説とテースティングコメントは?