Wine List 【 ge-14 】

3段クヴェヴリ醗酵・熟成

天然酵母醗酵が終ると、何と 超高アルコール!
15.0%
偶然の産物 サペラヴィ(赤) 


 

 パパリ・ヴァレーはジョージアの東、カヘティ地方アハシェニ・ヴァレーに2004年に設立された小規模の自然派ワイナリーです。畑から前方に見渡せる、広く長いコーカサス山脈の頂きは壮大で、訪れた旅人の心に残る、世界でも最も美しいワイン産地の一つと言えるでしょう。パパリ・ヴァレーが所有するブドウ畑は、波打つような穏やかな斜面に位置し、夏は暑く、冬は積雪のある大陸性気候に育まれます。設立当初2haの区画から始まったブドウ栽培は現在9.3haまでに拡大し、全て有機農法でブドウを大切に育てています。


オーナー ヌクリ・クルダジ氏

パパリ・ヴァレーが造り出すワインは、洗練されたクリーン系のナチュラルワインです。濁ったワインも多いジョージアですが、その中でも特に「クリーンなアンバーワイン」として注目を集めています。パパリ・ヴァレーではこのスタイルを生み出すため、世界遺産となっているクヴェヴリでの古典的な醸造技術に現代の手法を取り入れ、保守的でありながらも革新的なワイン造りを行っています。正にジョージア産アンバーワインの未来を見せてくれる、そんな逸品と言えるでしょう。ワイナリーでは2006年より試験的にワイン造りが始まり、試行錯誤を繰り返し2015年に初ヴィンテージをリリースしました。まだまだ新しい造り手ではありますが、地元のワイン関係者だけでなく、既にマスター・オブ・ワインを始め、世界のワイン関係者が一目を置く、注目の造り手です。


 

 

パパリ・ヴァレー
サペラヴィ 2018 クヴェヴリ No19 赤

Papari Valley
Saperavi 2018 Qvevri No.19


産地 : ジョージア(グルジア)、カヘティ地方
生産者:  パパリ・ヴァレー
オーナー : ヌクリ・クルダジ氏
土壌 : 粘土石灰質
品種: サペラヴィ 100%
樹齢: 30年
単位収獲量: 25〜30hl/ha
醸造: 醸造:果皮ごとクヴェヴリで醗酵(天然酵母/約2週間醸し)、マロラクティック醗酵  熟成:別のクヴェヴリに移し替えて果皮と共に合計12カ月 。
容量: 750ml
生産本数: 1,200本
アルコール度: 15.0%
タイプ: 赤ワイン、フルボディ
 : ビオロジック(認証なし)
※ No19 は熟成クヴェヴリのロットナンバー

プラムやドライチェリーなどの芳醇な果実味にアルコールの高さと適度な酸味が伴い、全体に非常に凝縮感の高い赤ワイン。タンニンは滑らかでスムーズ。

 
 
革新的な醸造を行うパパリ・ヴァレーですが、2016年に完成したその施設も工夫がなされています。彼らのマラニ(クヴェヴリを置く施設)は、ジョージアで初めてクヴェヴリを3段階に分けて設置。1段目と2段目のクヴェヴリは1階に設置され、上部まで砂で埋められて温度管理ができるよう、クヴェヴリの周りに冷却水が流れるパイプを引いています。更に一番下の層にあたる3段目のクヴェヴリは、地下に設置して地中に埋められます。ここでの温度管理は、地中の安定した自然の温度環境に任せることです。
醸造手法は至ってシンプルで古典的です。天然酵母による醗酵を行い、醸造の各段階でポンプを使用せず、3階層になっているマラニの重力を利用してワインを移動させます。この結果、ポンプを使用することによるストレスを軽減し、ゆっくりと丁寧にワインを熟成させることが可能になります。
1段目のクヴェヴリは醗酵に使用され、2段目と3段目は熟成による目減り分の補充のために使われます。この方法を活用することで、若いワインの熟成に伴う自然な変化をもたらし、また微生物レベルでの汚染も防止する効果があります。

 

ワイン醸造


上段:クヴェヴリを設置中の建築過程
下段:完成したマラニ

今日、多くの造り手が近代的なワイン造りを行い、ヨーロッパスタイルと呼ばれるワインが生まれていますが、カヘティ地区でのクヴェヴリ醸造は、同じくクヴェヴリを使用したワインを造るジョージアの別のワイン産地とも異なる独自性があります。この為、世界を見てもカヘティヤンワイン(カヘティ地区のワイン)と同じ方法で醸造されるワインはありません。

一般的な醸造はワイナリーにもよりますが、サツナヘリと呼ばれる容器の中で足によりワインを圧搾し、チャチャ(果皮、果肉、種、一部の茎)全てをブドウジュースと一緒にクヴェヴリの中へ移します。(最近では高度な圧搾機を用いるワイナリーも増えています)醗酵が始まると最初の10日間は一日4回ほど棒で中を浮上した果皮を突き下げ、醗酵期間中はずっと作業を続けます。通常20-25日ですが、長くなると40日にも及ぶ時があります。
醗酵が終わるとチャチャはクヴェヴリの下部に沈み、蓋をかぶせます。マロラクティック醗酵が終わった段階でクヴェヴリは完全に密封され、チャチャは天然の清澄剤の役目を果たしてくれます。この期間が長すぎてもチャチャがワインにとって好ましくない風味を生んでしまうので、この醸しの期間もとても重要です。
収穫の翌年、通常は3月から4月の初旬にかけて最初のラッキングが行われ、ワインとチャチャが分けられます。その後、更にクヴェヴリでの熟成を行う蔵や、樽に入れる蔵、ボトリングを行う蔵など、それぞれが理想とするワインのスタイルに合わせて熟成期間や手段が選択されます。
カヘティ地区原産のブドウはクヴェヴリ醸造、ヨーロピアン式の醸造どちらを採用しても、比較的抽出が強めに行われ、フェノール成分が豊富でタンニンが豊かなワインに仕上がり、香り豊かなワインとなります。

 

醗酵と醸し、熟成に使用されるクヴェヴリは、ジョージアの土を使いクヴェヴリ職人が窯で焼き上げた素焼きの壺です。古くは各地方にクヴェヴリを造る窯元がありましたが、時代の変化とともにその数は減り、現在では10社程に減ってしまいました。
全てが手作業で製作される事から時間と熟練の技術、経験が必要な職業です。
窯元では職人がジョージアで採掘された粘土を練り、高さ10cm程の帯状の塊を作り、下から順に積み上げるように重ねては休ませ、乾燥させ、また積み上げる、という地道な作業を数週間かけて行い、大きな卵を逆さにしたような形状の壺を製作します。
季節や湿度にもよりますが、完成した壺が高温で割れないように、1週間近く乾燥させ、数日から1週間かけて大きな窯で900-1200度の高温で焼き上げます。
焼きあがったクヴェヴリは割れないようにゆっくりと冷まされ、内部には蜜蝋をコーティングして密度を上げることでワインの流失を防ぎます。
更に外側には強度を高めるために石灰やセメントが塗られます。
ワインの蔵元によっては蜜蝋を好まない事から、あえて素焼きの物を購入する蔵もあります。
クヴェヴリのサイズは様々で、小さいものから人が中に十分入れる程の大きなものまで一般的に使われます。サイズにすると数百リットルから数トン程で、現在ではその顧客はジョージア国内に留まらず、ヨーロッパ各国、更には日本へも輸出されています。


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