オーナー、ルイジ・マンチーニ氏がインポーター(アビコ)の質問に、「インペロ・ブラン」の独自性について回答しておりますので、転記いたします。
Q: 歴史あるピノ・ノワールを白仕立てにする思いつきや理由理由は?
A: 実は私自身が思いついたわけではなく、私の父が既に1971年から行っていました。それはただ白のロンカリアを造るアルバネッラのブレンド用でした。このエリアでは、1970年代には海の幸を使った料理に合わせる白ワインが地元の白ブドウからできるワインの量では足りなかったのです。サンジョヴェーゼから白ワインを造ることも一般的に行われていました。ファットリア・マンチーニは、ナポレオン統治下でフランス行政府が植樹したブドウ畑を1861年に購入して以来、ピノ・ノワールのみを専門としてきているので、サンジョヴェーゼから白ワインを造ることはありません。
私が1990年代後半に父親の仕事を受け継いだとき、樽熟で長期熟成に耐える、重要な白ワインを造りたいと思いました。実際、ロンカリアも長期熟成に耐えますが、私はもっとブルゴーニュ・スタイルのワインを探していたのです。その際、私は自分の家系の伝統にない品種を新たに植えたいと思わなかったし、既に非常に適した品種を持っていたのです。それが、通常はロンカリアのブレンドに使われていたピノ・ノワールです。私はそれらを別々に造り始め、最も良い製造技術を探究し始めました。
Q: どのようなところに注意して、ピノ・ノワールからあの白ワインを造っていますか?
A: 最も難しい部分は、ほとんどの生産者が経験していないことですが、完熟したブドウから
Blanc de
Noir(ピノ・ノワールからつくる白)を造る工程で、これは赤ワインの製造にも用いられています。シャンパーニュのエノロゴが用いている手法は、この場合ほとんど役立ちません。というのも、目的が全く違うからです。ですからテクニックも異なるし、製造過程における問題点も異なります。
シャンパーニュ製法で Blanc de
Noir
を造るのは、まだ完熟する前のブドウ(アルコール分10%)を扱うことを意味し、それはほとんど意味がなく、酸度も高めです。我々のインペロは、完熟したブドウ(アルコール約13%)を使い、これは樽熟させるシャルドネの製法と似ていますが、我々の場合は、プレス工程での色味の流出という難しい問題を抱えています。また、ピノ・ノワールの自然な滑らかさ、という点にも非常に気を使っています。収穫日を一歩間違えると、適度な酸味が失われる結果に陥ります。過去10年間のサーチで、色味の流出という問題を以下のような方法で解決しました。
- ブドウ重量の50%の果汁のみを絞る。最初にプレスされた(その50%の)果汁は、酸度が高く、色味が少なく、アロマが多い
- 樽熟成の間中ずっとリー(滓)を樽に残しておく。リーは色味を吸収し、骨格を与えるが、それは高品質にリーでなければならない。
- ウィルメス・プレス(Willmes
Press)の採用。これはマーケットで最もデリケートで有効なプレス機と考えられているものである。
果汁の圧搾を50%に抑えることは、ワインのコスト、ひいては最終的なプライスに大きな影響を及ぼしますが、マ−ケットはいつもこのワインがそれだけの価値があることを認めています。
樽熟成の長い間ずっとリーを残しておくためには、ポドリティスや腐敗の形跡のあるブドウを完全に除去し、完璧な状態のブドウのみを用いなければなりません。そのため私達は、第一に畑での収穫時に非常に厳しい撰果行わなければならず、 第二に良く訓練された選果人が、醸造所に送るブドウを非常に注意深くチェックしなければなりません。
つまり、これも多くの労働力を必要とし、その結果、高いコストが少量のワインの生産に捧げられることになります。
インペロの生産に必要なことはこれだけでなく、その他様々な要素はあり、一つ一つの積み重ねが大きな違いを生み出します。1998年に生産を始めてから、私達はブドウ畑からボトリングまでの全工程のあらゆる部分で、たくさんの改良を重ねてきました。
ブドウ畑では、東向きの斜面の厳しい午後の日差しから果実を守るための、キャンピー・マネジメント(枝や葉で果実にひさしをかけるやりかた)のために、特別な仕立て方法を開発しました。このシステムは“パラボリック(放射状)システム”と呼ばれ、我々のウェッブ・サイトでその写真を見ることができます。このシステムにより、午後に果実は日陰に入るためにキレイな酸を保つことができ、白ワインの醸造に適したエリアを広げることが可能になりました。これにより我々はより多くのインペロ・ビアンコを生産できるようになったのです。もちろん赤ワインの生産は減らさなければならず、インペロ・ロッソと呼ばれる赤ワインの生産は減りました。
インペロ・ビアンコはファットリア・マンチーニのベストセラーであるため、より多くの白を生産することができて嬉しく思っています。
パラボリック・システムを導入する前は、白ワインの生産は、それに適した畑でほんの僅かの畑でしか行くことができなかったにも拘わらず、マーケットからの需要は、私達の生産量よりはるかに多かったのです。
また、醸造所でも Blanc de Noir
の品質を年々更に良くするために、醸造過程を改良しています。プレスの仕方、オークの種類、マロラクティック発酵の最も良い割合、最適な熟成期間、その他諸々について、リサーチを行っています。
オークについてはブルゴーニュ産のオークは、その他のフランス産のオークより常に良い、という結論に至っています。
マロラクティック発酵に関しては、1998年ヴィンテージから2002年ヴィンテージまでは完全にマロラクティック発酵を行っていましたが、その後2003年ヴィンテージから2005年ヴィンテージの間はフレッシュな味わいを残すために全く行いませんでした。2006年ヴィンテージでは再度見直しをして、部分的に行っています。今後はおそらく30〜40%の割合で行っていくことになると思います。それが、インペロが完全にマロラクティック発酵を行った場合の複雑味と、行わなかった場合のフレッシュな味わいがうまく調和する割合であるからです。
熟成期間については、2001年ヴィンテージ以降、12ヵ月の樽熟成で満足の行く結果がでています。